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調理作業について見てみたが、たんに簡単だから成功できるといっているのではない。
ラーメン店の最大の特徴はじつは、調理が簡単で、しかも商品のレベルも上げることができるという点なのである。
いま、麺は製麺業者から届けられるから楽だといったが、既製品の麺だからといって品質が悪いわけではない。
もちろん、どの業者を選ぶかにもよるが、優良な業者の麺はかなり高いレベルになっている。
しかも、細麺、太麺、ちぢれ麺など、いろいろな種類が揃っているのがふつうである。
お仕着せの麺ではイヤだというのなら、独自のレシピで仕様書発注すればいい。
つまり、使用する小麦粉や卵、カン水などの種類、配分率を指定して製造してもらうのである。
詳しいことは後述するが、勉強さえすれば、独自の味を主張でき麺を使用するのは、別にむずかしいことではない。
一方、スープについても同じことがいえる。
コンビニエンススープなどというと、スーパーで売っているラーメンと大差ないのでは、と思う人も多いのではないだろうか。
ところが、そんなことはないのである。
いまスープやソースメーカーはこぞって、業務用のスープやスープベースの開発に力を入れている。
したがって、その品質は相当なハイレベルに達している。
スープは煮出すだけならむずかしい作業ではない。
問題は、どんな材料を使うかだ。
まず、鶏ガラにしる豚骨にしろ、鮮度がよくなければおいしいスープにはならない。
もっといえば、鮮度がよくても、味の出る骨とそうでない骨がある。
また、隠し味に何を使うかによっても、スープの味、風味は大きく影響される。
これらの問題を素人が簡単にクリアできるというのは、現実的ではない。
実際にはむしろコンビニエンスもののほうが、下手な手づくりスープよりもおいしかったりするのである。
このようにラーメン店には、だれでも取り組めて、しかも、だれもが一定のレベル以上の商品を出せる、というメリットがある。
だから、素人でも成功しやすいのである。
もちろん、すでに述べてきたように、ラーメン店は競争が激しい。
参入しやすいから、競合店はどんどん増えていく。
だれもが取り組みやすいということは、逆にいえば、それだけ商売として成立しにくいということでもある。
また、麺類のなかでも、ラーメンほど幅広くかつ根強い人気を維持しているものはない。
需要は潤沢である。
ここが飲食店経営のむずかしさでもあるのだが、ポピュラーな商品ほど差別化が問題になる。
だれもがそのおいしさを知っているし、自分の好みを知っているが、そのポイント自体はむずかしいことではない。
私がいいたいのはそこである。
全国5万店のラーメン店の大半は繁盛できずにいるわけだが、その簡単なことをやらないから繁盛できないだけなのである。
店独自の特徴を持っていないことに気づくはずだ。
似たような商品を似たようなスタイルで漫然と売っているだけである。
飲食業は、個人レベルの小資本でだれもがチャレンジできる希有なビジネスである。
しかも、効率よくつくられた小規模店ならごく少人数で運営できるし、業種業態によっては、適正立地は豊富にある。
こんなビジネスは滅多にないが、とりわけラーメン店は、これら3つのメリットをすべてクリアしている代表的業種である。
まず、立地から考えてみよう。
一般に飲食店は、立地条件が成功の大事なポイントになるといわれる。
とくに、単価の低い日常食の場合、店前通行量が問題にされる。
どうしてかというと、プリ客の取り込みにつながるからだ。
プリ客というのは、初めて来店するお客のことである。
したがって、店前通行量の多い立地は一等地とされ、物件の家賃.保証金も高くなる。
ところが、ラーメン店の場合は別に一等地である必要はない。
たしかに、通行量の多い一等地ならいろいろな面で有利になる。
だれの目にも明らかだろう。
それでは二等地ではダメなのかというと、そんなことはない。
むしろ、二等地、三等地といわれる立地が、ラーメン店の一般的な立地になっている。
なぜなのか。
ラーメン店は客単価が低い。
しかも小規模店では売上げも決まってしまうため、高い家賃は払えない。
だから一等地に出店しないのだろう!こう推測する人も多いと思うが、じつはそうではないのだ。
あえて一等地に出店する必要がないだけなのである。
たしかにラーメンは日常食である。
だから、たまたま歩いていて目に飛び込んできたお店に入る、というプリ客は多い。
ラーメン大好き人間は違う。
自分の好みの味がはっきりしているし、日常食だからこそ安易な妥協はしたくないと思っている。
ラーメンの動物性のスープの味には一種の麻薬性ともいうものがあるから、なおさらだ。
となれば当然、近くのお店を通り越して、お気に入りのお店に行くことになる。
サイフの痛まない日常食だから、来店頻度も高い。
そういうラーメン大好き人間はいくらでもいる。
別に、都合よく仕立てた作り話ではない。
繁盛ラーメン店のごく一般的なパターンなのである。
つまり、ラーメン店は立地を選ばない、ということだ。
繁華街、オフィス街、商店街、住宅地、ロードサイド、学生街と、あらゆる立地で成立する。
次に、小資本ということだが、まず、家賃.保証金の安い二等地でも成り立つわけだから、物件取得費はかなり低く押さえることができる。
物件取得費と店舗の内装費は開店資金のうちの二大費用だが、その一方が低いというのは、大きな魅力である。
もう一方の内装費にしても、ラーメン店では大きな金額にはならない。
内装費というのは、店舗の設計.施工料のことだが、日常食のラーメン店にことさらおカネのかかつた造りは不要である。
別にケチるのではない。
そんなことはお客が求めていないからである。
飲食はもっとも身近なレジャーだというのが私の持論だが、レジャー性にもいろいろな要素がある。
せっかくの外食なのだから豪華な内装やしゃれた雰囲気のなかで食事を楽しみたい、というニーズももちろんあるが、一方で、気軽に気どらずに、できればちょくちょく楽しみたい、というニーズもある。
ラーメン店のお客は、圧倒的に後者のニーズであるが、その場合、お客にとって大事なのは、親しみやすく居心地のいい内装である。
居心地がいいというのは高級感ではなく、清潔感があることなのだ。
また、店舗には厨房設備費や冷暖房工事費といった機械設備費も必要だが、小規模ラーメン店の厨房設備にはそれほど高価な項目はない。
冷暖房工事費も同様である。
洗い場も含めて、人数を必要とする業種でないことくらい、お客でも知っている。
ただ、それでも注意しておきたいのは、たんなる少人数と最少人数とは違う、ということだ。
たとえば、やりょうによっては3人で済むお店で、四人が働いているとする。
この場合、子どもでもわかる算数で、1人が余計のわけだ。
ということは、1人分の人件費をムダに支払っていることになる。
先に、飲食店の粗利益率は65〜70%前後で、非常に楽な経営体質であるといった。
ラーメン店の場合、粗利益率はもっと高くなるのがふつうである。
それでも税引き後の純利益率となると、繁盛店でも10%を確保するのがやっと、というのが標準的な数字だ。
何に食われているのかというと、人件費なのである。
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